旅の概要

たしか去年(1999年)夏頃だ。今度行く欧州旅行はバイクでやろうと決めた。二輪免許を取ったのは99年5月。特に旅行のためではなく、地元の京都で動くのに便利だという極めて実用的な理由からだが、実際乗ってみてすぐに病みつきになった。体全体で感じるエンジンと地面の振動にaddictされ、 さっそく小樽行きフェリーに乗り込み北海道一周。途中でこけて骨折したがキズが癒えるまで巣穴で身を潜め、治った8月頃に再び北上。東北から北海道に再上陸する頃にはすでに海外バイクツーリングの観念が頭に取り憑いてしまっていたな。
98年末に退職し、とにかく2年程は思い切り遊ぶつもりで、その中で一度ヨーロッパもゆっくり歩こうと思ってた。その旅にこの素晴らしい相棒を連れて行かない手はないぞ。てなことで色々宙で思い描いているうちに「こうなりゃついでに中東やアジアもまわってバイクで日本に帰ってきたろか」とあらぬ方向に思考が肥大してゆき今日に至ったという訳だ。
旅のだいたいの予定を区切るとこのようになる。

西欧・北欧 2000年年3月中旬〜8月上旬
バルト三国・中欧・バルカン諸国 2000年8月中旬〜10月中旬
中東・南アジア 2000年10月下旬〜12月下旬
東南アジア 2001年1月上旬〜3月中旬
旅の期間は約1年。海外ツアラーにはもっと長い間旅してる方もいるけど、俺の場合もうすでに一年遊んでるしね。さすがに21世紀からは働くつもりだ。まあそれでも長い道程、何があるかわかったもんではないので、必ず一年で帰ってくるとは言いきれん。 それぞれの地域でできるだけ多くの国を見てまわりたいけど、自分のコンディションやその国の情勢とかもあるので、そのあたりは臨機応変にいくであろう。


旅のルートをざっと線引きするとこのようになる。


旅先では行きたいところ、やりたいことは山ほどある。うまいものも食べたいし。でも一年という限られた期間でこれだけ広域を移動するとなると、メリハリをつけるにしてもどうしても浅く広くなるのは否めない。どだい観光旅行でその国の事を深く理解するのは無理だろうから、難しく考えないである程度気の向くまま体の欲するまま日々過ごしてゆきたい。がしかし、ひとつだけこだわりたいことは、期間中できるだけ地元の人や他の旅人とCommunicateすること。旅の思い出として常にいちばん残るのは出会った人たちの事だし、人間はそれぞれ自分の国の歴史や考え方をしょってるものだから、人間にアプローチするのがその国の事を知る一番の早道じゃないかな。
旅の定義って人それぞれだとは思うけど、俺は「移動しながらの情報交換」という側面が非常に強い行為だと考える。したがって旅先での宿泊・観光情報やその国・地域のことについて人から吸収するだけではなく、こちらから自分の知っている情報、自分の国の事をちゃんと相手に伝え、情報の交換ができることは本当に重要だと思う。大袈裟に聞こえるかもしれないが、こういう小さな「交流」を無数に増やしていくことが相互理解につながり世の中の平和に寄与すると信じているのである。だれしも友達が住んでいる国にミサイルを打ち込んで欲しくないよね。 (2000年1月)

iida@j-hoppers.com